下肢静脈瘤の症状
下肢静脈瘤の症状には、主に以下のようなものがあります。
- あしがだるい
- あしがむくむ
- あしがつる
- あしの血管のコブがある
- あしが痛い
- あしが重い
- あしの皮膚がかゆい
- あしの皮膚が変色した
- あしの皮膚から出血がある
- あしの皮膚に潰瘍ができている など
体の血液の流れは、以下のように心臓から“きれいな血液”が“動脈”を流れて全身に巡り、各場所で使われた“古くなった血液”が“静脈”を流れて再び心臓に戻ってきます。
本来、足で使われて心臓に戻るはずの“古くなった血液”が、足の静脈にたまってしまうことにより、足の皮膚や筋肉が酸素不足・栄養不足になって様々な症状が現れます。
下肢静脈瘤は破裂することあるの?
脳動脈瘤や腹部大動脈瘤などの動脈瘤(どうみゃくりゅう)は破裂して大出血を起こしますが、下肢静脈瘤が破裂することはありませんのでご安心下さい。ただし、破裂はしませんが静脈瘤に出来たキズ(かさぶた)がこすれて出血することがあります。お風呂場が真っ赤になったと救急外来を受診される方がときどきいらっしゃいます。
症例写真:下肢静脈瘤の症状1−2
下肢静脈瘤と皮膚症状
下肢静脈瘤は、放っておいても命にかかわったり、歩けなくなったりすることはないのですが、進行してくると様々な皮膚のトラブルを生じることがあります。だるい、むくむなどの症状がない人はある程度放っておいても問題ないのですが、皮膚症状が生じてきた人はしっかりと治療した方がよいでしょう。
皮膚炎(湿疹)
静脈瘤が悪化すると皮膚炎がおこります。足で使われた古い血液が心臓に戻ることが出来ずにうっ滞することにより、皮膚表面の細胞が障害されて起こります。うっ滞性皮膚炎とも呼ばれます。うっ滞性皮膚炎は皮膚表面がザラザラになり、かゆみがあります。塗り薬で一時的にかゆみはおさまりますが、原因が下肢静脈瘤ですので下肢静脈瘤の治療をしないと湿疹は治りません。皮膚科の先生から紹介されることが多いです。逆に皮膚科に通っていてもなかなか治らない湿疹は静脈瘤が隠れていることがあり要注意です。
症例写真:湿疹1-4
色素沈着(しきそちんちゃく)
さらに静脈瘤を放っておくと茶色いシミがついてきます。静脈瘤が原因の場合は、静脈瘤を治療することで多少薄くなりますが、一度ついてしまったシミは、日焼け跡のシミなどと同じで薬を塗っても完全にきれいには消えません。男性では多少の足のシミは気にされない方が多いですが、女性ではそういう訳にいかないでしょう。シミが生じる前のかゆみが生じた段階での治療がよいかもしれません。
症例写真:色素沈着1-2
慢性色素性紫斑(まんせいしきそせいしはん)
あしにみられる点状出血、毛細血管拡張、茶色の色素沈着が特徴で中高年に見られる原因不明の皮膚疾患です。多くは原因不明ですが、ときに静脈瘤を合併していることもあり、静脈瘤の治療で皮膚のまだらな症状がうすくなることがあります。
症例写真:慢性色素性紫斑1、慢性色素性紫斑2治療前、慢性色素性紫斑2治療後
脂肪皮膚硬化症、皮膚潰瘍
下肢静脈瘤を長期間放置すると、うっ滞性皮膚炎を起こし、しだいに皮膚や脂肪織が肥厚・線維化を起こし硬くなってきます。脂肪皮膚硬化症とは、うっ滞性皮膚炎が重症化して、皮下脂肪が炎症によって硬くなってしまったものです。赤く腫れて皮膚と皮下脂肪がカチカチに硬くなり痛みを伴います。これをさらに放置しておくと、皮膚に穴があく潰瘍になります。一度潰瘍になってしまうと、治るまでに数ヶ月かかってしまいます。
症例写真:脂肪皮膚硬化症1、皮膚潰瘍1−2
あしのむくみついて
足のむくみは様々な原因で生じます。
あしのむくみといえば、心臓や腎臓が悪くなって起こることが心配ですが、心臓や腎臓が悪い場合は、あし以外もむくんでいることが多いです。高齢の方に多いのが、廃用性浮腫(はいようせいふしゅ)といって、あまり動かずに家の中で座っていることが多いために、あしの水分が心臓に戻ってこれずにたまってしまう状態です。太ももはむくんでいないのに、膝から下が極端にむくんでいる状態です。
動画:下腿浮腫
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